、また上郷から歩く)
[#ここで字下げ終わり]
やつぱり酒がいちばん高い、酒を飲まないと苦労はないのだけれど、しかし、たのしみもないわけだ。
[#ここから1字下げ、折り返して2字下げ]
□自己の単純化[#「自己の単純化」に傍点]。
 何よりも簡素な生活[#「簡素な生活」に傍点]。
□今日の太陽[#「今日の太陽」に傍点]!
□自画像[#「自画像」に傍点]
 句集の題名として悪くないと思ふ、平凡なだけ嫌味はない、私の句集にはふさわしいであらう。
□秋の山、秋の雲、秋の風、秋の水、秋の草――秋の姿が表現する秋の心[#「秋の姿が表現する秋の心」に傍点]。
 松茸[#「松茸」に傍点]よ。
 秋を吸ふ、食べる、飲む。
 秋を味ふ、秋の心に融ける。
[#ここから2字下げ]
(八日)
・晴れきつて大根二葉のよろこび
・柿の葉のちる萩のこぼるること
・秋晴の馬を叱りつ耕しつ
・蕗の古葉のいちはやくやぶれた
・月夜ゆつくり尿する
・播かれて種子の土におちつく
・風が枯葉を私もねむれない
   (山口吟行)
・細い手の触れては機械ようまはる(工場)
・秋草のうへでをなごで昼寝で
・秋風の馬がうまさうに食べて
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