人公論[#「婦人公論」に傍点]を読む、二・二六事件[#「二・二六事件」に傍点]の記録が胸深く徹えた、そこには頭の下る純真があつたのだ。
今夜も不眠だ、呪ふべき私自身をあはれむ。
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(七日)
・くもりおもたい木魚をたたく
・草刈るや草の実だらけ
・落葉するする柿の赤うなる
・ぶらぶら熟柿の夕焼
・ばさりと落ちて死ぬる虫
・更けるほどに月の木の葉のふりしきる
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□よい酒を飲めるやうになる自信はないけれど、よい句は出来ないこともあるまいといふ自惚は持つてゐる。
□自分の句について考へる――
私は私をうたふ、自然をうたふ。
人間性[#「人間性」に傍点]をうたひ、自然の調和[#「自然の調和」に傍点]をうたふ。
人間に眼醒めしめ、自然を味はせたいのである。
□人間としての樹明[#「樹明」に傍点]について考へる――
彼は文芸を解し、酒を解してゐる、それだけで幸福であり、不幸でもある。
□幸福と不幸とは垣一重である。
神と悪魔とは裏表だ。
地獄の底が極楽。
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十月八日[#「
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