べる、しやべる、――そして、それから例によつて例の如し。
ほろ/\ぼろ/\、とろ/\どろ/\、おそくもどることはもどつた、感心々々、感心々々。
九月二十日[#「九月二十日」に二重傍線] 曇。
朝酒がある、あれば飲まずにはゐられない私だ。
やつと来た、それを持つて街へ、昼も夜もなくなつた、彼も私もなくなつた、……一切空々寂々だつた、濡れて戻つて寝た。……
九月二十一日[#「九月二十一日」に二重傍線] 晴。
自責の念にたへなかつた、何といふ弱さだらう、自分が自分を制御することが出来ないとは!
終日憂欝、堪へがたいものがあつた。
九月廿二日[#「九月廿二日」に二重傍線] 秋晴。
朝、眼が覚めるといつも私は思ふ、――まだ生きてゐた[#「まだ生きてゐた」に傍点]、――今朝もさう思つたことである。
山の鴉がやつて来て啼く、私は泣けない。
身心重苦しく、沈欝、堪へがたし。
虚心坦懐[#「虚心坦懐」に傍点]であれ、洒々落々たれ、淡々たれ、悠々たれ。
午後はあんまり気がふさぐので近郊を散歩した、米と油とを買うて戻る。
樹明君は来てゐない、来てくれさうにもない、九、一九の脱線でまた戒厳令
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