なかつたか!
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 七月三十一日[#「七月三十一日」に二重傍線] 晴。

身心やうやく落ちつく。
久しぶりに味噌汁をこしらへる、うまかつた。
たよりいろ/\、うれしかつた。
山口へ行く、途中理髪する、気分がさつぱりした、バスに乗りおくれてガソリンカーにする、暑い暑い、青い青い、そして涼しい涼しい、愉快愉快。
誰も彼もアイスキヤンデーを食べる、現代風景の一齣。
湯田で一浴、ありがたいありがたい、バスで夕方帰庵。
夜はまた街へ出かける、飯、酒、女――人間、動物、何が何やら解らなくなつてしまつて、Jさんの宿舎に泊めて貰ふ。
はじめよろしくをはりわろし――これが私にあてはまる常套文句だ。
あさましい事実だ。
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△味噌汁と漬物。
△ルンペンの資格。
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食べないでも平気でゐること。
腐つたものを食べてもあたらないこと。
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いひかへると
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呆けた頭脳と痺れた心臓と[#「呆けた頭脳と痺れた心臓と」に傍点]。
そして何物をも受け入れる胃腸[#「そして何物をも受け入れる胃腸」に傍点]。
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