二日[#「八月廿二日」に二重傍線] 曇――晴。

蝉を捕へる小供らがしば/\来る、庵も平和ではない、私自身もとき/″\不安になる。……
ああ、待つ身はつらいなあ!
ちよつと学校に樹明君を訪ねる、昨夜また脱線したとかで浮かない顔をしてゐる、話したいことも話さないで帰る、畜舎で新聞を読ませて貰つた。
今日もすなほでつゝましく[#「今日もすなほでつゝましく」に傍点]。
午後、Kさん来庵、樹明君は来てくれさうにもない、やがて予期したやうに敬君来庵、久しぶりだつた、持参の酒と魚で愉快に飲みつゝ語りつゞけた、日の暮れないうちにめでたく解散。
夕暮はサビシイのでKさんを訪ねる、ビールをよばれて戻るとそのまゝ寝てしまつた。
今日の酒は愉快だつた、三人で一升、その半分位は私が飲んだらしい、ほろ/\とろ/\ぐう/\だつた。
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□よい友、よい酒、――よい人生。
□山口へ行くと、いつも『おもひでをあるく』といふ感がある、あの山この水、どこへ行つても青春の追憶がある。
[#ここで字下げ終わり]

 八月廿三日[#「八月廿三日」に二重傍線] 晴。

昨の[#「昨の」に「マ
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