境遇、性情を超えて理解せられることなり。
[#ここで字下げ終わり]

 十二月廿八日[#「十二月廿八日」に二重傍線] 晴――曇。

今夜は霜月の満月だが。……
今日は役所は御用納め[#「御用納め」に傍点]、其中庵裡には御用の始めもなく、随つて納めもなし。
朝早くから畑打つ人々、家内惣出だ、その音には何ともいへないハーモニーがある。
めづらしく朝寝した、のんびりしたものだ、それからまた晴れて暖かい幸福を味はつた。
今日は郵便も来なかつた。
今日も酒なしか、――などと考へてゐるところへ、Kさん来訪、まだ酒があるから、樹明君を誘うて、もう一度(二度でも三度でも)忘年会を開かうといふ、大賛成で待ち受けてゐると、暮れないうちに、樹明君は魚の包を、Kさんは罎詰を持つて来庵、それからおもしろおかしく飲んで解散した、めでたやめでたや、善哉々々! 年も忘れたが、自分を忘れた、うれしいね、愉快だね。
樹明君何となく憔悴してゐる、数日間の気苦労と酒宴つづきのためだらう、気の毒でもあり癪にもさわる!
私は其中感月[#「其中感月」に傍点]でぐつすり寝た、明方近く覚めて句作。
暁の月はほんたうによかつた、この月を
前へ 次へ
全138ページ中134ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング