、――飲んだ、飲んだ、Y屋、H食堂、Mカフヱー、等々、――別れてから、私はF屋で一休みして、入浴して、そしてどうやらかうやら戻つて来て、ぐつすり寝た、近来の熟睡だつた。
私としては少なからぬ浪費だつたけれど、五日ぶりの酒、十四日目の泥酔だから許して貰はう!
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□魚屋は魚臭い[#「魚屋は魚臭い」に傍点]、彼の肉体がさうであるばかりでなく、或は彼の精神までもさうであるかも知れない。
 よい事でもあり、わるい事でもある、とかく世の中はかうしたものだ。
 多くの事は楯の両面に過ぎない。
□野菜美[#「野菜美」に傍点]。
 芸術作品にもさういふ美がありたい。
 野菜を観る態度――
  実用的価値。
  芸術的価値[#「芸術的価値」に傍点](私の立場はこれだ)。
□紙鳶揚げの追憶[#「紙鳶揚げの追憶」に傍点]。――
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 十二月十三日[#「十二月十三日」に二重傍線] 晴――曇。

天地晴朗、身心清澄なり。
昨日の今日[#「昨日の今日」に傍点]にして、さてもしづかな。
小春うらゝかなり、野山を逍遙遊すべし。
米がある、炭がある、――幸
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