老のもだえ)
老境そのものには苦悶はないであらう、老いると感じることそのことが苦しみ悶えるのであらう。
老は枯草のしづかさでなければならない[#「老は枯草のしづかさでなければならない」に傍点]。
□年の瀬を渡る。
(其中日記抄――山頭火行状記[#「山頭火行状記」に傍点])
□千人風呂と濁酒と皇帝。
(新三題噺ですね)
[#ここで字下げ終わり]
十二月十一日[#「十二月十一日」に二重傍線] あたゝかい雨。
いつものやうに悶々寂々。
小鮒を煮る、ドンコを焙る、残忍々々。
水に放つと寒鮒はぴち/\生きかへる、放たれても桶の中であり、生きかへつても殺される、――これはあまりに月並な感想だ、幼稚なセンチだが、しかしそれがまた人間並世間並といへないこともなからう、いや、現代ではもう人間並でなく世間並でなくなつてゐるのだ、現代人はそんなことを考へ感じないほど忙しいのだ、硬くなつてゐるのだ、自分のことのために、或はまた社会のために。――
芋を拾へば芋粥を煮る、大根を貰へば大根飯を炊く、それがよろしい、それでよろしい、私の場合では。
生命を尊いと思ふが故に、生命をつないでくれる物品を尊ぶの
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