生連から来信、彼女らには彼女らにふさわしい苦悩がある、生きてゐるかぎり免かれがたい人間苦である。
左の耳がだん/\聞えなくなる、左の事を聞くなといふのだらう!

 十二月十日[#「十二月十日」に二重傍線] 晴。

いかにも冬日らしく、そして山頭火らしく。
米が乏しく、炭が乏しく、そしていかにも山頭火らしく。
午後、Nさん来庵、鮒、野菜など頂戴する、いつしよに街へ、私はついでに入浴。
やつと冬物の利上げだけ出来ました!
前の畑に芋が落ちてゐたので、拾つて来て芋粥をこしらへる、貰ひ水徃復の一得ともいへよう。
冬の雨はまことにしづかなるかな。
睡れないので夜通し句作。
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   近頃の感覚
どうやらかうやら、私の最後の過渡期も終つたらしい、いよ/\最後の新らしい生活だ、老の歩みを踏みしめ踏みしめ、一歩一歩、精進するのだ。
ずゐぶん苦しみ悩んだ。……
それは個人転換期[#「個人転換期」に傍点]の苦悶といつてもよからう。
 第一期、少年から青年へ(青春のなやみ)
 第二期、青年から壮年へ(中年のくるしみ)
 第三期[#「第三期」に傍点]、壮年から老年へ[#「老年へ」に傍点](
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