年をとられた、私も年が寄つたと思ふ、往事夢の如く――悪夢の如し、それからまた歩く、暮れてバスで小郡まで、そしてまた飲む、飲んで騷ぐ。……

 十一月三十日[#「十一月三十日」に二重傍線] 晴――曇。

何しろ昨日の今日[#「昨日の今日」に傍点]でして。――
閉ぢ籠つて、岔水君が送つてくれた中央公論を読む、ともすれば昨夜の自分を反省して憂欝になる、樹明君とても多分おなじだらう!
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   私の買物
一金三十銭  麦二升
一金六銭   焼酎半杯
一金三十弐銭 なでしこ大袋
一金四銭   葱一束
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 十二月一日[#「十二月一日」に二重傍線] 晴。

いよ/\師走になつた。
身辺を整理せよ、心中を清算せよ。
午後、ポストまで出かける、ついでに入浴する。
月が毎夜うつくしい。

 十二月二日[#「十二月二日」に二重傍線] 晴、曇、時雨。

あたゝかくて何よりと喜んでゐたら急に寒くなつた、風物がすつかり冬らしくなつた。
おとなしく冬ごもりすることだ。
冬は冬らしく、老人は老人らしく、私は私らしく、それがホントウだ。
肉体的にも胸中異変[#「胸中異変」に
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