私ばかり頂戴する、酒三杯、うどん三杯、大きな胃の腑ではある! 飲み足りないので、柄にもなく遠慮して、街へひとり出かけて、さらに飲み食ひする、酒六杯! そして酔つぱらつて――乱れない程度に――学校へ引き返して泊めて貰ふ、極楽々々。
[#ここから1字下げ、折り返して2字下げ]
□我がままな飲食[#「我がままな飲食」に傍点]、気まぐれな性慾を排斥する[#「気まぐれな性慾を排斥する」に傍点]。
□物忘れすることは悪くない、自分自身をも時々は忘れるがよろしからう。
 今日の私は本を忘れステツキを忘れ帽子を忘れた、だが、酒を忘れなかつた。
[#ここで字下げ終わり]

 十二[#「二」に「マヽ」の注記]廿九日[#「十二[#「二」に「マヽ」の注記]廿九日」に二重傍線] 日本晴。

霜白く雲かげなし、美しい日和[#「美しい日和」に傍点]。
朝飯をよばれてから帰庵。
飯三杯、汁三杯、茶三杯。――
誰も来てゐなかつた、敬君たうとう戻らなかつた。
宮市へ行きたいと考へてゐるところへ樹明君来庵、散歩しようといふ、ぶら/\歩く、名田島の方へ、途中、酒があるところでは飲む、Nさんに逢つて、案内され紹介される、父君も
前へ 次へ
全138ページ中103ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング