山ざくら散るばかり
出征兵士の家
・日の丸がへんぽんと咲いてゐるもの
松並木よ
伐り倒されて松並木は子供らを遊ばせて
改作
花ぐもりの、ぬけさうな歯のぬけないなやみ
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四月三日[#「四月三日」に二重傍線] 花見日和。
小鳥がとてもよく啼く、四十雀がとくに浮調子で啼いてゐる、恋の唄だ!
緑平老へ愚痴をいはせて貰ふ。――
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……私は此頃痛切に世のあぢきなさ身のやるせなさを感じます、それはオイボレセンチに過ぎないとばかりいつてしまへないものがあります。……
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十二時のサイレンが鳴つて間もなく樹明君来庵、まづ一杯、ほろ/\として山を歩く、そして公園へ下りる、そこここ花見の酒宴が開かれてゐる、私たちも草にすわつて花見をする、ビール三本、酒一本、辨当一つ、――それで十分だつた、おとなしく別れる、私はすぐ帰庵して、お茶漬を食べて寝た。
今日の樹明君はよかつた、彼にくらべて私は私の心を恥ぢた、どうも酒に敗ける、酔ふとぢつとしてゐられなくなる、そして、……今日はわるくなかつたが。
人生はリズミカルに、大井川
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