は悔いない、恥ぢない、私は腹立てない、マ[#「マ」に「マヽ」の注記]ガママモノといはれても、ゼイタクモノといはれても。……
□自己の運命に忠実であれ[#「自己の運命に忠実であれ」に傍点]、山頭火は山頭火らしく。
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   清丸さんに
・こゝのあるじとならう水仙さいた
・こゝに舫うてお正月する舳をならべ
   坊ちやん万歳
・霜へちんぽこからいさましく
 霜晴れの梅がちらほらと人かげ
・耕やすほどに日がのぼり氷がとける
 足音、それはしたしい落葉鳴らして(友に)
・みんないんでしまへばとつぷりと暮れる冬木
・ふけてひとりの水のうまさを腹いつぱい
[#ここで字下げ終わり]

 一月十一日[#「一月十一日」に二重傍線] 晴、あたゝかい。

近頃の食物の甘さ――甘つたるさはどうだ、酒でも味噌でも醤油でもみんな甘い、甘くなければ売れないさうだが、人間が塩を離れて砂糖を喜ぶといふことは人間の堕落の一面をあらはしてゐると思ふが如何[#「人間が塩を離れて砂糖を喜ぶといふことは人間の堕落の一面をあらはしてゐると思ふが如何」に傍点]。
朝、浜松飛行隊へ入営出発の周二君を駅に見送る、周二
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