ろく[#「何を為てもおもしろく」に傍点]、何を見てもたのしく[#「何を見てもたのしく」に傍点]、何を聞いてもたのしく[#「何を聞いてもたのしく」に傍点]。
[#ここで字下げ終わり]

 九月廿三日[#「九月廿三日」に二重傍線] 曇、秋冷、野分らしく吹く。

朝から寝ころんで漫読とはゼイタクな!
午後は魚釣とはまたゼイタクな。
小沙魚六つ、ゴリ五つ、いつものやうにあまり釣れない、あまり釣らうとも思はないが。
早々帰庵して、不運な彼等を火焙りにして(私としては荼毘に附して、といつた方がよからう)、一杯やつた。
今日はうれしや晩酌がある[#「今日はうれしや晩酌がある」に傍点]、――何と其中庵の山頭火にふさはしい幸福ではないか。
それから(このそれから[#「それから」に傍点]がちつとばかりよくなかつたが)、駅のポストまで、それからY屋へ、M店へ、F屋へ、等々で飲み過ぎた(つまり、多々楼君の温情を飲んだ訳である、貨幣として八十銭!)。
飲み過ぎて歩けないから、無賃ホテル(駅の待合室)のベンチで休息した、戻つたのは夜明近かつた。
山頭火万歳!

 九月廿四日[#「九月廿四日」に二重傍線] 暴風雨。
前へ 次へ
全186ページ中165ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング