動[#「行動」に傍点]といふことは必ずしも直接的[#「直接的」に傍点]であることに限らないと思ふ、性格的に間接的[#「間接的」に傍点]にしか行動し得ない私は、私自身をして、私の周囲をして、なごやかな存在[#「なごやかな存在」に傍点]とし、なぐさめの場所[#「なぐさめの場所」に傍点]として荘厳し提供する、それが私の生活の意義である、と私は考へる。
私は今日から郵便貯金[#「郵便貯金」に傍点]を始めた、一日十銭を節約するのである(バツトをなでしこに、酒三合を二合にといふ風に)、そしてそれは私の死骸かたづけ代[#「死骸かたづけ代」に傍点]となるのである。
省みて疚しくない生活、俯仰天地人に恥ぢない生活、嘘のない生活、秘密のない生活、――無理のない生活、悔のない生活、――私自身の生活。
[#ここで字下げ終わり]

 一月三十日[#「一月三十日」に二重傍線] 曇、霙、そして朝酒!

ちよつと街へ、――理髪入浴。
今日はからだのぐあいがよつぽどよかつた。
身も心も欲しがる酒[#「身も心も欲しがる酒」に傍点]、さういふ酒だけ飲むべし。

 一月三十一日[#「一月三十一日」に二重傍線] 晴曇、ずゐぶん
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