「私はやうやう本然の私を取りかへしたのだ」に傍点]。
山頭火が山頭火を祝福する[#「山頭火が山頭火を祝福する」に傍点]!
[#ここから2字下げ]
・もう枯れる草の葉の雨となり(丘関)
・萩が咲きだしてたまたま人のくる径へまで(楠)
・馬糞茸《クソダケ》も雑草の雨のしめやかな(門)
   「死をうたふ」追加
・死がちかづけばおのれの体臭(楠)
[#ここで字下げ終わり]

 九月五日[#「九月五日」に二重傍線] 雨――晴れてゆく。

東の空が白むのを待ちかねて起きる。
今日は大山さんが来てくれる日。
浴衣一枚では肌寒く、手がいつしか火鉢へいつてゐる。
待つ身はつらいな、立つたり坐つたり、そこらまで出て見たり、……正午のサイレンが鳴つた、すこしいらいらしてゐるところへ、酒屋さんが酒と酢とを持つてきた、そして間もなく大山君が、家嶋さんがにこ/\顔をあらはした、……五ヶ月ぶりだけれど、何だか遠く離れてゐたやうだつた。……
豆腐はいつものやうに大山さんみづからさげてきたけれど、実は其中庵裡無一物、米も醤油も味噌も茶も何もかも無くなつてゐることをぶちまける(大山さんなればこそである)、大山さん身軽に
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