つてゐる、三原山の火坑に落ちて死ねない人間のやうだ、憎い油虫だけれど――私はどうしても油虫だけは嫌いだが――何だかいぢらしくて憎めなかつた。
大山君を昨日から待つてゐたのだが、仕事の都合で五日の朝訪ねるといふハガキがきたので、がつかりした、五日の朝よ、早く来れ、早く五日の朝となれ。
辛うじて質屋の利子を払ふ。
大根一本三銭也。
柚子の香気うれし。
何と賑やかな虫の合奏だらう。
よくない酒でも何でも泥酔するまで呷らずにはゐない私だつた、さういふ私が八月十日以後は、よい酒を微酔するだけ味へば十分足りるやうになつた、一升の酒が二合三合となつたのである、酔ひたい酒から味ふ酒へ転じたのである[#「酔ひたい酒から味ふ酒へ転じたのである」に傍点]、しみ/″\酒は味ふべきである[#「しみ/″\酒は味ふべきである」に傍点]。
嫌な、嫌な夢を二つも続けて見た、……寝苦しかつた、……醜い自分を自分で恥ぢた。……
       △        △        △
今日は関東大震災の記念日である。
あの日のことを考へると、自分のだらしなさがはつきり解る。……
あの場合、私がほんたうにしつかりしてゐたならば、
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