戻つて、机上の徳利に※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]す、幼年時代の追憶が湧いた。
石蕗二三株を鉢植にする、私の好きな草の一つである、私の食卓を飾つてくれるだらう。
夕方になると晩酌の誘惑[#「晩酌の誘惑」に傍点]がくる、とう/\こらへきれないで、なけなしの銭で焼酎一合買うてきた。……
[#ここから1字下げ、折り返して2字下げ]
   ぐうたら手記
□考へると――
 私の過去の悪行――乱酔も遊蕩も一切が現在の私を作りあげる捨石のやうなものだつた(といつたからとて、私は過去を是認しようとするのではないが)。
 第一関を衝き破らなければ第二関に到り得ないのだ、第二関を突破しなければ第三関にぶつつからないのだ。
 そして、第四関、第五関、第六関、第七関、……関門はいくつでもある。
 それが人生なのだ。
[#ここで字下げ終わり]

 九月一日[#「九月一日」に二重傍線] 雨。

ひえ/″\として、単衣一枚ではうそ寒いので襦袢をかさねた、夜は蒲団をだして着た。
丸火鉢の灰の中でごそ/\動いてゐるものがある! よく観れば、いつぞや落ちこんだ油虫だつた、痩せて弱
前へ 次へ
全186ページ中136ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング