椹野川尻の六丁といふ場所へ、そして樹明君とも出逢ふ、川は釣れないから沼へ行く、ぼつ/\釣れる、日が傾いて今から釣れるといふ頃、私だけ先きに帰る、途中で六時のサイレンが鳴つた、帰つてすぐ料理、ゆつくりと焼酎の残りを味ひ、たらふく麦飯を食べた。
釣場へ徃復二里あまり、四時間あまり釣つたので、ほどよく労れて睡ることが出来た。
今日の獲物(樹明君から半分は貰つたのだが)――
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中鮒三つ、小鮒八つ(中鮒は刺身にし小鮒は焼く)。
俳句二つ(今日は句作衝動をあまり感じなかつた)。
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釣は逃避行[#「逃避行」に傍点]の一種として申分ない、そして釣しつつある私は好々爺[#「好々爺」に傍点]になりつつあるやうだ、ありがたい。
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・なつかしい足音が秋草ふんでくる(樹明君に)
・壁の穴からのぞいて蔓草
   敬治君に三句
 逢へば黙つてゐればしめやかな雑草の雨
・秋めいた雨音も二人かうしてをれば
 更けてかへるそのかげの涼しすぎる
   追憶一句
・お祭の甘酒のあまいことも
   追加一句
・草のあを/\はれ/″\として豚の仔が驚いてゐる

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