悠久の感、事々無礙、念々微笑の境地。
黙壺君からの来信、その中には友情が封じ込まれてあつた。……
さつそく、湯田の温泉に遊ぶことにする。
暑い、銭がある、理髪する(女がやつてくれたが、男よりも女の方がやさしくて念入で、下手上手にかゝはらない私にはうれしかつた)、バスがゆつくりしてゐる。……
温泉は熱くて豊富で、広くて、遠慮がなくて、安くて、手軽で、ほんたうによろしい。
町を歩いて、嫌とも気のつくことはキヤンデー時代[#「キヤンデー時代」に傍点]だといふことだ、こゝにもそこにもキヤンデー売店、そしてあの児もこの人もキヤンデーをしやぶつてゐる。
買物いろ/\、銘酒二合買うて戻ることも忘れなかつた。
生ビールもうまいが、燗酒はもつと、もつとうまい。
拾五銭のランチも私には御馳走だ。
四時の汽車で帰庵、夕餉の支度をしてゐると、樹明君から来信、宿直ださうである、OK、待つてゐましたとばかり学校へ、――例によつて生ビールと鮭肉とを頂戴した、釣道具、餌蚯蚓などを分けて貰ふ。
更けて帰庵、涼しい風が吹きぬける。
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壺の萩さく朝風が机をはらふ
・藪をとほして青空が秋
・風鈴しみ/
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