うてこだはらないのがよろしい。
釣は逃避行の上々なるものだ[#「釣は逃避行の上々なるものだ」に傍点]、魚は釣れなくとも句は釣れる、句も釣れないでよい、一竿の風月は天地悠久の生々如々である[#「一竿の風月は天地悠久の生々如々である」に傍点]、空、水、風、太陽、草木、そして土石、虫魚、……人間もその間に在つて無我無心となるのである。
私は釣をはじめやうと思ふ、行乞と魚釣と句作との三昧境[#「行乞と魚釣と句作との三昧境」に傍点]に没入したいと思ふ。
しかし今日はその第一日の小手調べであつた、樹明君は魚を釣り私は句を釣つた、同時に米も釣つたのである。
山羊髯[#「山羊髯」に傍点]! その髯を私は立てはじめたのである、再生記念[#「再生記念」に傍点]、節酒記念[#「節酒記念」に傍点]、純真生活記念[#「純真生活記念」に傍点]として。
八月十日[#「八月十日」に傍点]を転機として、いよいよ節酒を実行する機縁が熟した(絶対禁酒は、私のやうなものには、生理的にも不可能である)、今度こそは酒に於ける私を私自身で清算することが出来るのである。
今が私には死に時かも知れない[#「今が私には死に時かも知れない
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