つもその罰に悩まされてゐる、十六日の夜は三日ぶりにぐつすりと寝て、生きてゐることのよろこび[#「生きてゐることのよろこび」に傍点]を感じた、よき食慾[#「よき食慾」に傍点]はめぐまれてゐる私であるが、よき睡眠[#「よき睡眠」に傍点]は奪はれてゐる、生活に無理があるからだ、その無理をのぞかなければならない。
行乞は一種の労働だ[#「行乞は一種の労働だ」に傍点]、殊に私のやうな乞食坊主には堪へがたい苦悩だ、しかしそれは反省[#「反省」に傍点]と努力[#「努力」に傍点]とをもたらす、私は行乞しないでゐると、いつとなく知らず識らずの間に安易と放恣とに堕在する、肉体労働は虚無に傾き頽廃に陥る身心を建て直してくれる、――この意味に於て、私は再び行乞生活に立ちかへらうと決心したのである。
十七日は朝早くから嘉川行乞に出かけるつもりだつた(もうその日の米もなくなつてゐた)、そこへ学校の給仕さんが樹明君の手紙を持つて来た、――今日は托鉢なさるとのことでしたが、米は私が供養しますから、午後、川尻へいつしよに鮒釣に行きませう、――といふのである、そこで私は鉄鉢を魚籠《ビク》に持ちかへた、人生は時に応じ境に随
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