て。
□貧しければこそ[#「貧しければこそ」に傍点]――
 ほどよい貧乏。
 私が今日まで生きてきたのは貧乏のおかげ[#「乏のおかげ」に傍点]だ。
□疾病[#「疾病」に傍点]。
 ほどよい疾病[#「ほどよい疾病」に傍点](私の場合には)
□歯[#「歯」に白三角傍点]のあるとないと――
 白船老との会食、酢鮹の話。
[#ここで字下げ終わり]

 七月二十五日[#「七月二十五日」に二重傍線] 快晴、土用日和。

かん/\照りつけるので稲が喜んでゐる、百姓が喜んでゐる、私も喜んでゐる、みんな喜んでゐる。
今日も酒があつた、茄子があつた、トマトがあつた、私にはありがたすぎるありがたさである。
茶の本[#「茶の本」に傍点](岡倉天心)を読みかへした、片々たる小冊子だけれど内容豊富で、教へられることが極めて多い本である。
即興詩人[#「即興詩人」に傍点](森鴎外訳)も面白い、クラシツクのよさが、アンデルゼンのよさが、鴎外のよさが私を興奮せしめる。
私は空想家[#「空想家」に傍点]だ、いや妄想家[#「妄想家」に傍点]だと思つたことである、今日にはじまつたことではないが。
遠く蜩が鳴いた、うれしかつた
前へ 次へ
全186ページ中104ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング