、みぞそばの花、とり/″\に好きだ。
[#ここから2字下げ]
・みんな働らく刈田ひろ/″\として
・あぜ豆もそばもめつきり大根ふとつた
・たつた一つの、もぎのこされた熟柿をもがう
・垣も茶の木で咲いてゐますね
・秋もをはりの夜風の虫はとほくちかく
[#ここで字下げ終わり]
十一月四日[#「十一月四日」に二重傍線]
終日読書。
私は熊本行を契機として転向、といふよりも復帰することが出来た。……
○……持つべきものは子なりけり、私は私を祝福しなければなるまい。
方々へたよりを書く。
十一月五日[#「十一月五日」に二重傍線]
晴、何とうらゝかな、曇、何としづかな。
洗濯、施肥、そして入浴、一杯ひつかけました。
櫨がもう紅葉してゐる、雑木紅葉がだん/\うつくしくなる、雑草は日にまし枯れてゆく。
○濁酒から泥水へ――私の一生はかうした経路をたどりつゝありはしなかつたか!
うれしい事は、アルコール渇望[#「アルコール渇望」に傍点]が薄らぎつゝあることである、酒に対する執着さへなくなれば、私は私の欣求する生活に入ることができる。
○動かうにも動けない、しばらくぢつとして、身を養ふ、いや心
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