出。
純真に生きる[#「純真に生きる」に傍点]、これが私の一切でなければならない。
従容として、私は生きよう、そして死なう。
流れるままに流れよう、あせらずに、いつはらずに。
十月二十日[#「十月二十日」に二重傍線]
快晴、身心安静。
私の境地は悠々自適でなければならない、私の行動は逍遙遊でなければならない。
酒が飲みたくなつた、煙草も吸ひたくなつた、御馳走が食べたくなつた。……
[#ここから2字下げ]
・柿落葉そのままそれでよい日向
・米をとぐ手のひえ/″\と秋
・熟柿もぐとて空のふかさよ
・病めるからだをよこたへて風を聴くなり
・秋もをはりの日だまりのてふてふとわたくし
[#ここで字下げ終わり]
十月廿一日[#「十月廿一日」に二重傍線]
晴れて明るく、むなしくはてなく、澄みてかぎりなし。……
十月廿二日[#「十月廿二日」に二重傍線]
晴、門外不出六日間、自分を見詰めつゞけてゐる。
夕、樹明来庵、酒と煙草とありがたし、そして玉ころがしとはおもしろし。
十月廿三日[#「十月廿三日」に二重傍線]
曇、樹明徃訪。
やつと工面して、冬物を質受して、妹を訪ねる、子の結婚
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