」に傍点]――これが今日此頃の私の気分。
○貧閑[#「貧閑」に傍点]――まことにしづかで、ほんたうにさみしい。
Sがまたやつてきてゐるけれど、与へる物がない。
十月十六日[#「十月十六日」に二重傍線]
曇、そして雨、百舌鳥がやたらに啼く。
うれしい手紙、それは未見の新らしい友から。
やうやくにして酒と飯とにありついた。
樹明君からも白米のお布施。
夕方、君はさらに酒と魚とを持つて来庵、それから、私はまた恥づかしい私となつた。
十月十七日[#「十月十七日」に二重傍線]
雨、やがて晴、ほがらかな憂欝[#「ほがらかな憂欝」に傍点]とでもいはうか。
樹明君やつてきたがすぐかへる。
[#ここから2字下げ]
・みごもつてよろめいてこほろぎのいのち
・日向ぼつこはなごやかな木の葉ちつてくる
・ゆふかぜのお地蔵さまのおててに木の実
・日かげいつか月かげとなり木かげ
空が風が秋ふかうなる変電所の直角形(改作)
[#ここで字下げ終わり]
十月十八日[#「十月十八日」に二重傍線]
晴、自省あるのみである、苦しめるだけ苦しめ。
十月十九日
晴、徹夜展転反側。――
三日間まつたく門外不
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