リでない、マコトである。
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┌──────────────────────┐
│近在散歩、                 │
│  どこへゆくか、いつもどるか、わかりません│
└──────────────────────┘
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かう書き残して置いて歩く、時計をまげて一杯やる、そして自動車に乗り込んでしまつた。
大田の町へ運ばれた、そして伊東君のお客となつた、酔ふた、眠つた。

 十月十四日[#「十月十四日」に二重傍線]

曇、大田の伊東君の家庭の中にゐた。
身心がすぐれないので、早々帰庵。
衰へたるかな、山頭火!
米がない、銭もない、麦はある、それを炊いて食べる、これがホントウの麦飯だ、あまりうまくはないな。
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 枯草あたたかう犬は戻つてきてゐる(Sよ)
 こころむなしく日向をあるく
・もいではすする熟柿のぬくとさは
・空のふかさへ変電所の直角形(改作)
・あかるくするどく百舌鳥はてつぺんに
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 十月十五日[#「十月十五日」に二重傍線]

曇、時々雨となる。
○明るい空しさ[#「明るい空しさ
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