ん、あまり感じがよくなかつた。
Y子さんは女性としての媚態を持つてゐない、そこがよいと思つた、彼女自身のためにはよくあるまいけれど。
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・道がまつすぐ大きなものをころがしてくる
・よい雨が音たかくふる、これで十分
・かうして暮らして何もかも黴だらけ
・山のみどりを霧がはれたりつつんだり
・うれしい朝の、かぼちやの大きい花かな
 赤い花が、墓場だつた
 あつい温泉《ユ》が湧いてのうせんかつらの花が咲いて
 おぢいさんは高声で、ふんどしのあとも
・濡れて歩いてしよんぼり昼顔
・けふは飲めるガソリンカアで行く
 むしあつくやつとホームイン(対校試合)
・こんやの最終は満員でバスガールはうたひつつ
・月へうたふバスガールのネクタイの涼しく
[#ここで字下げ終わり]

 七月廿七日[#「七月廿七日」に二重傍線]

晴、土用だからしつかり照つてくれ。
蝉捕の児が三々五々やつてくる、うれしくもあればうるさくもある、私はやつぱり薄つぺらなヱゴイストだ。
午後、樹明来庵、魚と米とを持つて、そして昼寝して晩飯をたべて、おとなしく帰宅。
今日はアルコールなし。
△読書、思索、人間には自
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