、ただ筋肉労働として行乞しなければ現代の情勢では食つてゆけないのです。
すべてが生存――生活とはいへませんね――のあえぎです、私が行乞を行商にふりかへようとするのも、封建的遺習乃至資本主義社会の崩壊過程を暗示してゐますね。……
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Sも自分を持てあまして、あちらへごろり、こちらへごろりしてゐる、私は自分をもSをも持てあましてゐる。
今日から麦飯[#「今日から麦飯」に傍点]、それは経済的でなくて保健的意義からである、食べすぎる[#「食べすぎる」に傍点]、うまいものを食べたがる[#「うまいものを食べたがる」に傍点]、――それがいけない、弊□は不足から来ないで十分以上から来る。
どうしても眠れない、頭脳が痛む、ああ。
十月一日[#「十月一日」に二重傍線]
曇、晴れて秋、そして秋風秋雨。
柿買爺さんがやつてきていろ/\話す。
○「質よりも量」から「量よりも質」へ転向しつつある私、それは自然であり真実だ。
[#ここから4字下げ]
『私はうたふ』
[#ここで字下げ終わり]
十月二日[#「十月二日」に二重傍線]
肌寒くなつた、昨夜はよく眠れた、有難かつた。
今朝もS
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