つたりあひたうていそぐ
・まよふたみちで、もう秋季収穫《アキ》がはじまつてゐる音
・出来秋ぬれてはたらく
・夜あけの雨が柿をおとして晴れました
・十字街はバスが人間がさん/\な秋雨
・濡れて越える秋山のうつくしさよ
・ぬれてきてくみあげる水や秋のいろ
はだしであるく花草のもう枯れそめて
・ヱスもひとりで風をみてゐるか
・秋雨の夜がふける犬に話しかける
[#ここで字下げ終わり]
九月二十日
雨、うんざりする雨だ、終日読書。
朝酒があつた、やゝよろしい。
○昨日の出来事が遠い昔の夢のやうな!
街のポストまでちよつと出掛ける、ヱスがついてくる。
降る降る、どしやぶりだ。
いそぎの手紙を四本書いた、行乞から行商へかはるについての問合だ、それを持つてまた郵便局へ、むろんヱスはついてきた、そして途中その姿を見失つてしまつた、仕方がないからそのまゝ戻る、多分ひとりでかへつてくると信じて、――果して彼女は帰つてきた、彼女もうれしがつてゐる、私もうれしかつた。
ヱスはほんたうにおとなしい犬だ。
夕暮から暴風雨となつた、風は何よりも淋しい。
九月廿一日[#「九月廿一日」に二重傍線]
やうやく
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