月夜の青葉の散るや一枚
・もう一めんの青田となつて蛙のコーラス
・がつがつ食べてゐるふとると殺される豚ども
・街はうるさい蠅がついてきた
ついてきた蠅でたゝき殺された
・風ふくとんぼとまらないとんぼ
[#ここで字下げ終わり]
六月廿八日[#「六月廿八日」に二重傍線]
晴、いよ/\空梅雨だ、もう真夏の暑さである。
昨日の失敗を省みて、気短かと早合点とを戒める。――
朝、九時前にオヨリデキヌ一一ジ二〇ヱキデオアイシタシといふ電報が砂吐流君から来た、で、十時過ぎには駅へ出かけて、大社線十一時弐拾三分止の列車を待つた、が、車内にもプラツトにもどこにも砂君の姿は見えない、そこで気短かの私は早合点して、さては何かの事情で延引したのだらう、留守中に何とかいつてきてゐるかも知れないと考えたので、急いで帰庵したのである、そして念のために、学校に樹明君を訪ねたら、案の定(といふ風に感じたのである)、砂君が自動電報[#「報」に「マヽ」の注記]をかけて、私を探しても見当らないから、残念ながらこのまゝ帰京するといふことであつた、それは十一時三十分頃だつたといふ、私もその頃駅の附近にゐた、もうすこし待
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