ければならない。……
中外日報[#「中外日報」に傍点]を読んで、無塀さんを思ひだした、品のよい、おとなしい芸術家である彼はしづかな力[#「しづかな力」に傍点]を持つてゐられる。
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   断想
△心清浄、身清浄、 身清浄、心清浄
△山のすがた、水のすがた、人間のすがた。
△すがた即こころ、こころ即すがた。
△そのすがた[#「すがた」に傍点]をうたふ、それがこゝろの詩[#「こゝろの詩」に傍点]である、私の俳句である。
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 六月廿四日[#「六月廿四日」に二重傍線]

曇、梅雨らしく降りだした。
△私は平静である、清澄でさへあると自惚れてゐる、私は私にかへることが出来たから、私は私の場所[#「私の場所」に傍点]に坐つてゐるから。
一切が過ぎてしまつた[#「一切が過ぎてしまつた」に傍点]、といふやうに私は感じつゝある。
午後、樹明君が酒井教諭をひつぱつて来た(本当は酒井さんが樹明君に案内されて来庵したのださうなが)、無論、酒と肉とを御持参になりまして、――三人ほどよく酔うて暮れる前に解散、それから私は御飯を炊いて筍を煮て夕飯。
快眠、眼覚めたのが十
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