安眠。

 六月六日[#「六月六日」に二重傍線]

晴、勉強しよう、一切放下着、クヨ/\するな。
入浴、さつぱりする、清風こゝろよし。
うれしいたよりがあつた、砂吐流君から、安六君から。
△一は一だけしか、一は一として、黒いものは黒く、黒いなりに、――それ以外の何物でもない、それはそれでよろしいではないか。
夕、樹明君が痛む足をひきずつてやつてきて泊めてくれといふ、OK、酒はないが飯はある、蚊帳の中で大の字に寝そべつて漫談数刻、いつのまにやら寝入つてしまつた。
庵中無事、事々妙好である。
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   其中庵二句
・しろい蝶くろい蝶あかい蝶々もとぶところ
・花がさいて蜂がきてゐる朝
 この木のどこか病んでゐる日向水やらう
・てふてふあそばせてあざみあさのいろ
・ここにもてふてふがぢやがいものはな
・うぐひすよ、もとのからだにはなれないで夏
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 六月七日[#「六月七日」に二重傍線]

晴、すこし寒くて、なか/\忙しい。
薊を活ける、老鶯が啼く。
「松」「雑草」到着。
山へ行く、山はよいかな。
よく眠れた。
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   こんな句は
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