に傍点]とを失ふ勿れ。
すなほに受ける、そしてすなほに現はす。
やうやく雨になつた、よい雨だが、風が落ちるとよいのだが。
△在るところの世界[#「在るところの世界」に傍点]について考察する、在るべき[#「在るべき」に傍点]、在りたい[#「在りたい」に傍点]、在らねばならない世界[#「在らねばならない世界」に傍点]、在らずにはゐない世界[#「在らずにはゐない世界」に傍点]。
夜は碧巌録を読む、いつ読んでもおもしろい本である、宗教的語録として、そして文芸的表現として。
趙州三転語[#「趙州三転語」に傍点]、彼は好きな和尚だ。
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・すでに虫がきてゐる胡瓜の花
・さつそくしつかとからみついたな胡瓜
・麦がうれたよ嫁をとつたよ
・なにがなしあるけばいちじくの青い実
・子を負うて魚《さかな》を売つて暑い坂かな
・茂るだけ茂つて雨を待つそよぎ
・蜂がてふてふが花草なんぼでもある
・風のふくにしいろい花のこぼるるに
・風の中の蟻の道どこまでつづく
・風ふくてふてふはなかよく草に
・風ふく山の鴉はないてゐる
・いちにち風ふいて永い日が暮れた
 暮れてふきつのる風を聴いてゐる

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