「菩薩」に傍点]ともいふべく、他は禽獣ともいふべき人間)。
(肥育[#「肥育」に傍点]といふことも)
△君よ[#「君よ」に傍点]、みだりに愛を口にするなかれ[#「みだりに愛を口にするなかれ」に傍点]、慈悲を説くなかれ[#「慈悲を説くなかれ」に傍点]。
もう暑い、街まで出かけてもヱライ、弱くなつたものだ、こんなに弱くては。……
夕方、案外早く樹明君が帰つて来た、飲んで寝る。
よい月夜、ほろ酔の月のあかりはよろしいかな。
樹明君は夜の明けるのを待つて早く帰つていつた、よろしい。
[#ここから2字下げ]
・青葉そよぐ風の、やぶれた肺の呼吸する
・夕風がでてあんたがくるころの風鈴の鳴る(樹明に)
・かたづけてまだ明るい茄子に肥水《コヱ》をやる
・月夜の、洗濯ですか、よいですな
(自問自答)
せんたくはよろし
月夜の蛙がなく米をとぐ
厠のあかるさは月のさし入りて
[#ここで字下げ終わり]
五月廿六日[#「五月廿六日」に二重傍線]
日本晴、頬白が囀り合うてゐる、私もうれしい、多分彼氏の来る日だ。
何とあたゝかい手紙が――澄太君をし[#「をし」に
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