間もなく樹明君もきてくれた、お土産の般若湯がうまいことうまいこと。
それから三人で雨の中を街へ、ほどよく飲み直して戻る、樹明君よく帰りましたね、敬治君よく泊りましたね、そして山頭火もよく寝ましたよ。
ほんに、とろ/\ぐう/\だつた!
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・あんたがくるといふけさの椿にめじろ(敬治君に)
・日が照る草は枯れて石仏
・こゝろあらためて霜の大根をぬく
 大根の、大きいの小さいのが霜ばしら
 葉のない枝が、いつしかみのむしもゐない
・竹の葉に風のあるひとりでゐる
・石ころを蹴とばして枯山
・やりきれない冬空のくもつてくる
・ふめばさく/\落葉のよろし
・冬空の、この道のどこへ、あるく
・さいて、かげする花のちる
・あるけば冬草のうつくしいみち
・ウソをいつたがさびしい月のでゝゐる
・ウソをいはないあんたと冬空のした(樹明君に)
・冬の山が鳴る人を待つ日は
 かきよせて、おこつた炭ではあるけれど
・火鉢もひとつのしづかなるかな
・椿が咲いても眼白が啼いても風がふく
・竹があつて年をとつて梅咲いてゐる
・手をひいて負うて抱いて冬日の母親として
・このさびしさは山のどこから枯れた
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