急いで帰庵することにする、八時出立、直方までは歩いた、それから折尾まで汽車、八幡まで歩く、門司まで汽車、下関へ汽船、それから黎々火居まで歩いて一泊、黎々火君の純情にうたれる。
私もいよ/\本格的癈人[#「本格的癈人」に傍点]になりさうだ、本格的俳句[#「本格的俳句」に傍点]が出来るかも知れない。
ヒダリはかなはなくても飲むことは飲める、水はなか/\酒にならない、酒は水になりやすいが。
酒と心中したら本望だ。
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・けさはおわかれの太陽がボタ山のむかうから(緑平居)
・よぼ/\のからだとなり水をさかのぼる
・驢馬にひかせてゆくよ春風
・枯草ふかく水をわたり、そしてあるく
・また逢へようボタ山の月が晴れてきた
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遠賀川風景
枯葦
雲雀の歌
放牧の牛の三々五々
霞うら/\
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あされば何かあるらしい鶏は鶏どち
焼芋やけます紙芝居がはじまります
旅のつかれのほつかりと夕月
・枯草の日向見つけて昨日の握飯
病めばをかしな夢をみた夜明けの風が吹きだした
[#ここで字下げ終わり]
二月廿七日[#「二月廿七日」に二重傍
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