んぽん
・今日の乞ふことはやすくておいしい汁粉屋の角まで
・おぢいさんの髯のながさをおもちやにして日向ぼつこ
・食べものうつくしうならべ煤がふる
 白い煙が黒い煙が煙突に煙突
[#ここで字下げ終わり]
(八幡は製鉄所を持つ都会だけに、くろがねせんべいといふのがある、鉄町といふ町名があつた)

 二月廿五日[#「二月廿五日」に二重傍線]

朝からかしわで酒[#「かしわで酒」に傍点]の贅沢三昧。
黎々火君とは駅で別れる、君は上りで門司へ、私は下りで糸田へ。
一時にはもう緑平居に落ちついて、湯豆腐で一杯二杯三杯だつた。
緑平老はまことに君子人なるかな。
急に左半身不髄の症状に襲はれた、積悪の報いいたしかたなし、飲みすぎ食ひすぎはつゝしむべし。
[#ここから2字下げ]
 曇れば寒いボタ山ふたつ
・逢うてうれしくボタ山の月がある
[#ここから1字下げ]
      緑平居
ふきのとう、焼いてもらふ
雀のお宿、雀が泊りにくる
泰山木、雀の好きな木
夕雀にぎやかなり、雀と仲よし
[#ここで字下げ終わり]

 二月廿六日[#「二月廿六日」に二重傍線]

左手が利かない、身体が何だか動かなくなりさうだ、
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