工所
戸畑漁港(二)
・日向はぬくうて子供があつまる廻転饅頭
・仕事すましてぶらさげてもどる大[#「大」に「マヽ」の注記]刀魚のひかる
・枯葦に汐みちてくる何んにもゐない
・こんなに帆柱が、春風の、出る船入る船
長屋の真昼はひつそりとホウホケキヨ
もうあたゝかい砂の捨炭ひらふことも
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二月廿四日[#「二月廿四日」に二重傍線]
晴、朝の寒さは昼の暖かさとなる。
入雲洞君よ、たいへんお世話になりました、何から何までありがたう。
山越して八幡へ、のんびりぼんやりの気分で市街見物。
小山の枯草にすわつて古い握飯を食べる。
製鉄所の煙突と煤煙とを鑑賞する。
四有三居訪問、番人に誰何されたり、押売と間違へられたりした、それも旅の一興、いや、私にはふさはしい出来事だ。
からいおひやをよばれる、ペハ[#「ハ」に「マヽ」の注記]アミントをよばれる、いやはや。
夜は光の会、会者十数名、なか/\盛況だつた。
黎々火君と共に星城子居に泊る、星城子君の友情が骨身にしみとほる。
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・こんな水にも春の金魚が遊んでゐる
・かすんでけぶつて山の街にも日の丸へ
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