マヽ」の注記]郎さんは不幸な人だ、彼の善良と不幸とは正比例してゐる。
読書するつもりだつたが、しぜん眼があけてゐられなくなつた。
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到津遊園
・人影ちらほらとあたゝかく獅子も虎もねむつてゐる
白雲閣即事二句
・お産かるかつたよかつた青木の実
・訪ねて逢へて赤ん坊生れてゐた
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二月廿二日[#「二月廿二日」に二重傍線]
曇、何か降つてきさうだ。
九時、星城子さんは役所へ、私はアスフアルトの街道へ。
星城子さんは好きだけれど、八幡は好かない。
小倉の寝十方花庵を訪ねる、庵主不在、奥様と話しながらよばれる、酒は飲んでも飯は食べない、お嬢さんはホガラカで、しごくよろしい。
降りだした、濡れて戸畑へ、そして若松へ。
病院で入雲洞君に逢ふ、退けるまで待つて、また戸畑へ、入雲洞居へ、あつい風呂はうれしかつた、酒も肴もおいしかつた、奥さんはお留守で、すべてが主人みづからの心づくしだ。
病院は病院くさい、それでよいのだらうけれど、まめでたつしやな私は嫌だ。
食べられるだけ食べて、いや、そのまへに飲めるだけ飲んで、さてこれから寝られるだけ寝れば
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