あかぎれ(農村風景)
・ほほけすすきのいつまでも春めいてきた
雪をかぶりて梅はしづかなる花
・雪、最初の足あとで行く
・雪へ轍の一すぢのあと
・雪をふんで郵便やさんよいたよりを持つてきた
・雪ふる火を焚いてひとり
・ひとつやにひとりの人で雪のふる
・ゆきふるだまつてゐる
・春の雪のすぐとける街のいそがしくなる
・雪の小鳥がかたまつて食べるものがない
・すすきに雪の、小鳥はうたふ
・誰も来ない木から木へすべる雪
・雪あかりの、足袋のやぶれからつまさき
・雪のあかるさが家いつぱいのしづけさ
・春の雪のもうとけて山のしめやかないろ
・このみちいつもおとしてゐる枯枝ひらふ
・少年の夢のよみがへりくる雪をたべても
・濡れて枯草の水をくみあげる
こやしやつたらよい雨となつた葱や大根や
・一つあれば事足るくらしの火を燃やす
・北朗作るところの壺の水仙みんなひらいた
・こちらをむいて椿いちりんしづかな机
・身にちかくふくらうがまよなかの声
・月がうらへまはつても木かげ
霜晴うらゝかな鰹節を削ります(桂子さんに)
・『とかく女といふものは』ふくらうがなきます
[#ここで字下げ終わり]
二月十六
前へ
次へ
全47ページ中20ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング