はつめたいが。
もう食べるものがなくなつた、でも身心はやすらかだ。
昨日の夕方、敬坊と約した手紙を受取るべく駅まで出かけたが、その手紙はまだ届いてゐなかつた、で、今朝はわざ/\嘉川まで出かけたのだが、その人に逢へなかつた、失望落膽、急に空腹を感じたことである。
一天雲なく腹裡一物なし、そして途上二句だけ拾つた。
瓶の水仙を椿(もちろん藪椿)に代へた、仏壇は水仙の盛花、花はよいなあと花を眺めては思ふ。
食べすぎの後は食べたらないのがホントウだらう!
暮のサイレンが鳴つても電燈がつかない、つかない筈だ、電球がきれてゐる、そしてそれをかへて貰ふ拾銭もない、――今夜は早くから寝て考へよう!
日中来書の約を履んで、樹明君バリカン持参で来庵、理髪どころぢやない、会話にも興が乗らない、やうやく名案を思ひついた、――焚火で理髪して貰つたのである。
今夜の其中庵風景はまことに異色あるものであつた、私は、恐らくは樹明君も、一生忘れないであらう。
街あかり星あかりだけでも、室内はほんのり明るい、そして今、十九夜の月が昇つた、その光をまともにうけて、明るい、明るい。
樹明君がお土産の牡蠣はうまかつた、殼をたゝ
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