に白三角傍点]ことに心が傾いてきた、物の相《すがた》、そこに今まで観なかつたものを観るやうになつた、物の色、香、音といふものから離れて、物のかたち[#「物のかたち」に傍点]、物のすがた[#「物のすがた」に傍点]、そのものに没入しようとしてゐる、多分こゝから、私の句境に一転向――それは一つの飛躍でなければならない――が出て来るであらう。
△描く、写す、そして述べる、詠ずるのである、正しい認識[#「正しい認識」に傍点]、それがなければ、まことの芸術はない。
[#ここから2字下げ]
・茶の木の雪のもうとけた
・雪の小鳥よとんできたかよ
敬坊に
ごつちやに寝てゐる月あかり
・月がのぼればふくらううたひはじめた
・雪空、わすれられたざくろが一つ(改作再録)
・笹原の笹の葉のちらつく雪
・雪ふりつもる水仙のほのかにも
・かすかな音がつめたいかたすみ
・茶の木の雪のおのがすがた
・投げだしてこのからだの日向
・どうすることもできない矛盾を風が吹く
・つい嘘をいつてしまつて寒いぬかるみ
[#ここで字下げ終わり]
三月十四日[#「三月十四日」に二重傍線]
まつたく春だ、うらゝかな日かげ、霜
前へ
次へ
全86ページ中77ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング