の落葉して
 たえず啼いてさわがしい鳥が葉のない木
 腹が鳴る、それに耳をかたむけてゐる私
[#ここで字下げ終わり]

 二月八日[#「二月八日」に二重傍線]

あたゝかい雨、もう春が来たかと喜ばせるやうな。
朝、樹明君が見舞に来てくれた、貧乏見舞に! そして、雨の其中庵はなか/\よいなあといふ、しめやかなものですよと私が答へる、お茶をのんで別れた。
いよ/\食べる物がなくなつた、明朝までも[#「も」に「マヽ」の注記]餓死もすまいて。
朝はお茶、昼は餅を焼いて、晩は野菜汁ですました、すませばすませるものである。
△ふくろうが濁つた声でヘタクソ唄をうたつてゐる、どこかにひきつけるものがある、聞いてゐると何となく好きになる、彼と私とは共通な運命を負うてゐるやうだ。
夜、樹明君再来、第六感を働らかして、白米を持つてきてくれた、何よりも有難い品だつた、千謝万謝。
一人となつて、このまゝ寝るのは何だか物足らないので、その米を一握りほど粥にして食べた、まことにしみ/″\と食べたことである。
△貧乏、といふよりも缺乏[#「缺乏」に傍点]は私を純化する、そして私を私の私[#「私の私」に傍点]たらしめる
前へ 次へ
全86ページ中51ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング