げ終わり]
うつくしいといふ言葉がおもしろい、穴から見るのが一茶の俳人的眼孔だ。
一月廿一日[#「一月廿一日」に二重傍線]
雪もよひ、だん/\晴れる、そんなに冷たくはない。
朝のお茶はうまい、こんな調子だと、あんぐあい転換が出来るかも知れない、転換したいものだ。
急に眼の工合が悪くなつた、栄養不良のためか、老眼と近眼とのこんがらがりのためか、とにかくこれでは困る、といつたところで詮方もないけれど。
此頃の私は、とりわけて、よく食べよく寝る、それではどうぞ、よく働らきなさい。
△山にしたしむことは木の葉にしたしむことであり、小鳥にしたしむことであり、石にしたしむことでもある。
山村庵居は空と土とにしたしむことである。
鴉よ、あんまり啼いてくれるな。
来庵者について考へる、――郵便屋さん、新聞屋さん、それから、眼白頬白みそさゞい、そして鴉、犬、――それだけ、時々樹明君が人間として!
焚火といふものは意味ふかい、その原始的情趣[#「原始的情趣」に傍点]を味ふ。
身辺整理、遺書も書き換へて置く。
水仙を切るために指を切つた、赤い血が流れるのは不可思議のやうな気がした、水仙は全身を切られた
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