すが/\しさである、私は思ふ、茶は頭脳を明快にする、酒は感興を喚ぶ、煙草は気を紛らす、茶は澄み酒は踊り煙草は漂ふ、だから、考へるには茶をすゝり、作るには酒を飲み、忘れるには煙草を喫ふがよい。
住めば住むほど、此家が此場所が気に入つてくる、うれしくなる、落ちついてくる、樹明君ありがたい。
酒が悪いのぢやない、飲み方が悪いのだ、酒を飲んで乱れるのは人間が出来てゐないからだ、人間修行をしつかりやれ。
今日は大寒入、朝餉としては昨日の豆腐の残りを食べた、それで沢山、うまくもまづくもなかつたが、さて昼餉は!
けふも、いやな手紙を一通かいてだした、ゴツデム!
ぢつとしてはゐられないから、そして午後はすこしあたゝかくなつたから、嘉川まで出かけて行乞三時間、いろ/\の意味で出かけてよかつた、行乞相も(主観的には)わるくなかつた。
四日ぶりの御飯である(仏様も御同様に)、それはうまいよりもうれしい、うれしいよりもありがたいものだつた(仏様、すみませんでした)。
御飯をたべたらがつかりした、米の魅力か、私の執着か、そのどちらでもあらう。
△醤油も味噌もないので、生の大根に塩をつけて食べた、何といふうまさだ
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