リマヘとはシノニムである。
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・耳垢を掌《て》にのせて夜のふかく
・ふつと挙げた手で空しい手で
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一月十二日[#「一月十二日」に二重傍線]
眠れないから考へる、考へるから眠れない、とやかくするうちに朝が来た。
――諸法常示寂滅相――
どうやら晴れさう、そして冬らしく寒らしくなつた。
そばだんご汁をこしらへる、御苦労様、御馳走様。
△とき/″\貧乏になることは、いろ/\の意味に於て悪くない、いつも貧乏では困るけれど。
樹明君が帰宅の途次ちよつと立寄つた、あの夜の経過を聞くまでもなく、※[#「宀/婁」、268−7]れた顔色が万事を雄辯に語つてゐる、私は私の友情が足らなかつたことを恥ぢる、樹明君よ、お互に酒の奴隷はやめませう。
寒い、寒い、何もかもみんな寒い、こんな夜は早くから寝るに限る、ことに昨夜は寝なかつたから。
△私たちの生活は雑草にも及ばないではないか(と草取をしながら私は考へた)見よ、雑草は見すぼらしいけれど、しかもおごらずおそれずに伸びてゆくではないか、私たちはいたづらにイライラしたり、ビクビクしたり、ケチケチしたり、ニヤニヤし
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