、酒がなくなり、弁当を食べてしまつてから街へ、そして例の如し。
[#ここから2字下げ]
・酒もなくなつたお月さんで
[#ここで字下げ終わり]
この句が悪くないならば――よくもなからうが――その程度ぐらいにふざけて酔うたのである。
[#ここから2字下げ]
・月がのぼつて何をまつでもなく
[#ここで字下げ終わり]
この句には此頃の私が出てゐると思ふ、待つでもないで待つてゐる私である。……
十二月十五日
悪かつた、小郡に於ける最大悪日だつた。
小人玉を抱いて罪ありといふ、私は玉を預けられて罪を造つたのである。
筆にも言葉にも現はせない悪、毒、悔だつた。
十二月十六日――十九日[#「十九日」はママ]
気分が悪い、樹明君といつしよになつてヨリ悪かつた、私のなげやりと樹明君のむしやくしやとが狂ほしく踊つて歩いた!
十二月十九日
踊りつかれて、戻つてきて、読経した。――
本来空、畢竟空である、空即空[#「空即空」に傍点]、色即色[#「色即色」に傍点]だ、この事実が観念としてゞなく体験として滲みだした。
執着を去れ、自からごまかすな、我を捨てゝしまへ、気取るな。――
△色即色だ、それ
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