ます、自分で耕した土へ自分で播いて、それがもう芽生えて、間引菜などはお汁の実としていたゞけるやうになりました、土に親しむ[#「土に親しむ」に傍点]、この言葉は古いけれど、古くして力ある意義を持つてゐると痛切に感じました。……
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柚子のかをり(にほひ[#「にほひ」に傍点]でなくてかをり[#「かをり」に傍点]である)、そのかをりはほんとうによろし。
今日の御飯はよく出来た、これもほんとうにおいしい。
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蓮を掘る泥まみれ泥をかいては
・秋のひかりの大鋸のようきれる
・近眼と老眼とこんがらがつて秋寒く
・芋の葉、それをちぎつてつゝんでくれる
・ゆふ空から柚子の一つをもぎとる
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百舌鳥がしきり啼く、あの声に聴き入つて、死身の捨身になつたこともあつたが、今はどうだ! あゝ。
散歩してゐて、コスモスのうつくしさがハツキリ解つた、あの花は農家にふさはしい、或はこぢんまりとした借家にふさはしい、はかないけれどもしたしみのある花だ(茎もまた)。
昼寝した、ぐつすり寝たが、覚めて何物もなかつた。
アルコールについて、そしてニコチンについ
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