]だ、参。
一人はよいかな、日向ぼつこしてゐる私は一人だよ。
湯屋まで出かける、イージーゴーイングな自分に鞭ちつゝ早々帰庵した。
ゲルトなし、アルコールなし、エゴなし。
Sさん一家族みんなで柿もぎに来た、子供はうるさいね、裏畑の柿をもぐべく、近所の娘さんが二人連れで来た、ナツメを下さいといふ、サア/\おとりなさい、いんぎんに礼をいつて行つた、若い女性はやつぱりわるくないな。
[#ここから2字下げ]
・酔へばやたらに人のこひしい星がまたゝいてゐる
裏からつめたく藪風のふきぬけてゆく
・わかれてもどる木の実をひらふ
・秋あつくせりうりがはじまつた
・月に咲けるはそばのはな
・寝るよりほかない月を見てゐる
(放哉坊の句とは別な味があると思ふが)
[#ここで字下げ終わり]
昨日の買物(此言葉はよい)、――
[#ここから1字下げ]
一、端書切手 十銭(私の買物はいつでも郵便局からはじまる、何故!)
一、線香 一 六銭 一、茶 一袋 十銭
一、煙草([#ここから割り注]バツトナデシコ[#ここで割り注終わり])十一銭 一、小バケツ 十二銭
一、いりこ五
前へ
次へ
全92ページ中17ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング